なぜ学校に行けないのか?;内在的論理

こんにちは。
ワクワク塾 塾長の福田歩です。

中3の生徒から
滑り止め校に合格したとの報告をもらいました。

「安心して本命に挑戦できるね!!」

さて、この生徒
本命校の入試に備えて
400字作文(毎日1本、制限時間30分)に取り組んでいます。

1月初旬は0/10(10点中0点)が続きましたが、
ここへ来て7/10、8/10と
実力を伸ばしてきています。

本番までの授業はあと6回。
6回もあれば完璧な作文が書ける実力になると思います。

不登校の子に寄り添える人になりたい

作文のお題は
本命校のホームページに掲載されているスクールポリシーをもとに
自分で考えさせています。

昨日のお題は
「あなたが自らの学びを地域や社会のために役立てたいことと、その理由を書きなさい。」
でした。

採点の結果、
「8.5/10 良いところまで来てる!!」

勿体無いところを解説し、
20分を測って
10/10の作文に書き直してもらいました。

この生徒の作文に
とても大切なことが書かれていました。

この子はクラスの雰囲気に馴染めず不登校になりました。
パニックになることが多く、
たびたび自殺を試みていました。

最近は本当に不登校の子が増えていますが、
親の世代では不登校の子は珍しかったため、
親に相談しても悩みを理解してもらえないと感じていました。

スクールカウンセラーの先生に話を聴いてもらえたこともあり、
今は学校に行けるようになりました。

不登校を経験し、克服した自分は
不登校の子の気持ちに寄り添うことができる。
やりたいことはスクールカウンセラーとは少し違うというか、
もっと範囲の広いことなのだけど、
心理や福祉の勉強をして、不登校の子どもたちを助けたい。


 といったことを作文に書いてくれました。

内在的論理

この作文と本質的に同じことが
今週のクローズアップ現代
『他者を“理解”し合える世界へ 佐藤優』
で語られていたので、
生徒と一緒にNHKプラスで視聴しました。

作家の佐藤優さんは、もと外交官。
旧ソ連でインテリジェンス(諜報活動)をしていました。

外交の目的は国益を守ることであり、
最も重要な仕事は戦争を回避することです。
その上で佐藤さんが心掛けていたことが
「相手の “内在的論理” を理解すること」です。

内在的論理とは
「それぞれの国や団体が、どのような論理で
 こういうことをしようとしているのか、
 その論理をまず知ることが必要だ」

ということです。

相手の内在的論理を無視して
自国の論理を押し通せば戦争になります。

バイデンはプーチンを悪魔だと思っているし、
プーチンはゼレンスキーとバイデンを悪魔だと思っている
という状態です。

翻って、
一人ひとりの子の内在的論理を理解するところから
始めている大人がどれほどいるでしょうか?

学習指導要領に沿ったカリキュラムの授業や試験、規律といった
「オトナ側の内在的論理」に子供達を
一方的に従わせようとしていないでしょうか?

「オトナ側の内在的論理」に合わせようとして
合わせられなかった子達が不登校になっているのではないでしょうか?

一人の先生が30人以上のクラスに
一律の授業を提供するシステムに無理があります。

「一人ひとりに寄り添う教育」
大人たちが真剣に考えなければなりません。

この生徒は佐藤さんの話と
自分の将来の夢の本質が同じであることを理解し、
激しく頷きながら、食い入るように番組を観ていました。

とても賢い子です。

「自分が恵まれた環境にある」と思った人に関しては、
それは自分の力じゃないんだから、
それは社会に返さないといけない。
また、「自分はちょっと大変な状況だ」っていうんだったら
遠慮なく「助けてくれ」って言っていいと思うんです。

佐藤優さん インタビュー全文

番組の後半では
佐藤さんが人生を通して得た
物の見方、考え方を若い世代に伝える活動が
紹介されていました。

佐藤さんは語ります。
「私は上の世代から結構助けてもらった。
 今、返そうと思ってもその先生達は
 天国に行っちゃったから居ないと......

 ただ、その先生達も先輩から恩恵を受けてたんで、
 そういう “縦の贈与の連鎖” みたいなものを
 作れないかなと......

 そういう大人と学生時代に出会ってると
 社会に出てからも
 大人に対する見方も、
 下に対する見方も変わってくると思うんです。」

「もう一回、人間と人間の信頼関係を強化していくということを、
 自分の手の届く範囲でどうやってやっていけるのかなと......」

まさにこれが
生徒が400字作文に書きたかったことの本質ですし、
私がワクワク塾でやっていることの本質でもあります。 

生徒の作文と佐藤さんの考えの共通点を確認

ノブレス・オブリージュ

授業の最後に「ノブレス・オブリージュ」(高貴な義務)という言葉を紹介しました。

高い社会的地位には義務が伴うことを意味するフランス語です。

ウィキペディアの「ノブレス・オブリージュ」を熟読する生徒。
お迎えに来たお母さんに「ノブレス・オブリージュって知ってる?」
とクイズを出してしまうあたりがカワイイ。

「君はもう自殺なんかしないよ。
 もう、こちら側の、豊かな側の、
 人に分け与えたい側の人間なんだから!!」

この生徒の本命校の受験は2月の前半ですが、
間違いなく合格するでしょう。

合格するのに十分すぎる資質を既に身につけていますから。

そして、私のミッションが完遂したことも実感しました。
この子は大きく成長しましたし、
これからも成長し続けると確信できましたから!

教えてあげたいことはまだまだあるけれど、
もう卒業です。

おめでとう!!

『一生役立つ真の学力』とは、
一生学び続けながら、自分の人生を自分で切り開くことができる力のことです。