進学校で勉強についていけない……(2)

こんにちは。
ワクワク塾 塾長の福田歩です。

県内トップレベルの進学校に通うOBのお母様から、
表題のようなご相談をいただきました。

とにかく課題(宿題)をたくさん出す高校で、
睡眠時間を削っても課題が山積する。
塾(予備校)にも通っているが、勉強についていけない。
入学前から楽しみにしていた部活に、最近は顔を出していない。
以前から好きだった趣味も最近はしていない。

(1)の記事で、要点は3つと書きました。
1. 課題の分離(親も子も)
2. 「助けて」と言える人になろう
3. 挫折や失敗も大事な人生経験

そして、『1. 課題の分離』について書きました。

親も子も、それぞれ「自分の課題」と「他人の課題」を分けて考えましょう。
他人の課題を解決することはできません。
なのに、他人の課題を自分自身の課題だと錯覚して苦しんでいる人が多いです。

例えば親の立場で
「我が子に、『この地域で1番偏差値の高い高校に入れるように頑張りなさい』と
私の価値観を押し付けてしまったのではないか......と悩んでいるんです。」

親が自分の価値観で、(その状況で)最善と信じる教育を子に与える。
これ自体は問題がない......というか、それ以外の接し方はできません。

もし問題があるのだとしたら、
親が信じている価値観が問題なのです。

ご自分が信じる価値観に問題があると気付かれたのなら、
それを修正することは親ご自身にしかできません。
子とは無関係の課題です。

そして、子が「親や社会から与えられた価値観」を
信じ続けるのか?
別の価値観を獲得するのか?
これは既に子に委ねられた課題です。

他人の課題に責任を負おうとすることは不毛であり、
無理に干渉すれば事態を悪化させます。

親にできることは、ご自身の課題に取り組むこと。
そして、子が課題解決に取り組めるように環境を整えること。
見守ることです。

さて、ここからが今日の本題です。
子が自分の課題に取り組むことについて書いていきます。

2. 「助けて」と言える人になろう

目の前の思い通りにならない状況を、理想通りに変えようとしていませんか?

理想通りにできないとダメだと思っていませんか?

その理想って、本当にあなたの理想ですか?
世間一般で理想とされていることだったり、
親が信じている理想だったりしませんか?
(これは『1. 課題の分離』)

まあ、それはひとまず置いておくとして、
理想通りに行かなくたって良いんじゃないですか?

「逃げたって良くないですか?」

「嫌だな」「自分には無理だな」と思ったら、逃げていいんです。

「負けても良いんです。」

「失敗しても良いんです。」

「あきらめても良いんです。」

「辞めて(止めて)も良いんです!」

「休んでも良いんです。」

「助けてと言って良いんです!」

もちろん、勝っても良いし、やり続けても良いし、
元気になってから再度挑んでも、
成功するまで何回挑戦したって良いんです!

大事なことは、
周りからどう見られているかなど気にせず、自分の好きにして良いということ。
そして、
自分1人では手に負えないときは
「助けて!」と言った方が良いんです。

彼が進学した高校に合格するのは、
各中学校の成績トップか2位くらいの子です。

その優秀さが「当たり前」になるのです。

公立の中学校の場合、各校に1人くらい
「バケモノか?」ってくらい頭が切れる子がいます。

学年2位までなら「そこそこ優秀 ✖️ 努力」で到達できます。

彼の高校は、「バケモノ」と「そこそこ優秀 ✖️ 努力」の生徒が混在しているなかで、
「バケモノ」をフルチューンアップすることを伝統としているようです。

その結果、そこそこ優秀な子は「常に全力疾走」が求められます。
それでも上位集団についていくのは容易ではありません。
一度つまずいたら置いていかれるし、
休んでも置いていかれます。

それが優秀な彼に見えている風景です。

ただ、彼に見えている風景は、
その高校の中だけに存在する、幻みたいなものです。

私はそういう環境が存在しても良いと思います。
ごく一部の、能力にも、努力する才能にも恵まれた人たちが
研ぎ澄まされてたどり着ける頂の世界というのがあっても良いと思います。
そこでしか経験できないことも確かにあります。

ですが、それを選ばなくても良いのです。
「何か違うな」と感じたら選び直しても良いのです。

私の整体院(ナチュラルメディカル高崎)に
高校に通えない女の子が来ました。
偏差値県下No.1の女子校の生徒でした。

整体で緊張を緩め、信頼関係を築き、
本音で対話できる安全な環境を整えました。
認知行動療法(身につける心理療法)で、
自分自身をありのままに見られるようになりました。

その結果、彼女は県下No.1の女子校が自分の居場所ではないと考えるようになり、
ご両親も彼女の考えを尊重してくださって、転校しました。

転校先の高校で、
彼女は先生方とも生徒たちとも良好な人間関係を築きました。
学校に通うのが楽しくなりました。
周りから信頼され、責任ある役を任され、責任を果たしました。
自分の才能を他人のために使うと喜ばれ、感謝され、
自分も幸せになるのだと気付きました。
自分がもっと学びたいことが明確になり、それが学べる大学に進学しました。
今でもたまにメールで近況を報せてくれます。

彼女は転校したから幸せになれたのではありません。

場所を変えたって、自分の本音に蓋をしたままだったなら、
新しい場所でも同じ状況が再び発生したことでしょう。

自分に対して素直に、誠実になったから
自分本来の輝きを取り戻したのです。

その発端は、お母さんに「助けて」と言えたことです。
お母様が私を信頼して娘を連れてきてくださり、
本人も私に「助けて」と言ってくれました。

「助けて」は敗北の言葉ではありません。

「助かりたい」という前向きな意思表示です。

「今の状況から良い方向に変わるんだ」という意思表示です。

塾でも整体でも、
本人が助かろうとしない人がいます。
わざわざ来てくださるのだから、助けてほしい(受動)のは確かなのだけど、
助かろうとする(能動)力が弱くて、すぐに諦めてしまう人がいます。
周りの援助の手を拒み、助からないことを選んでしまう人がいます。

残念ながら、私のレベルではどうにもできません。

だから、どうか
「助けて(=助かるから手伝って)」と言える人になってください。

「助けて」と言える人は強い人です。

山岳救助マンガ『岳』
「助けて」と言えた人たちと、助ける人たちの物語
主人公の島崎三歩が要救助者にかける言葉は「よく頑張った!」
左:主人公の三歩さん。「よく頑張った」「また山においでよ」と要救助者にどこまでも優しい。
右:凄腕ヘリパイロットの牧さん。助かるための行動をしない要救助者にどこまでも厳しい。
対照的なキャラクターですが、どちらも作者の本音です。
助かろうとしてください。

※ 私の力では無理ですが、希望はあります。
 本人より先に、周りの人が助かることです。
 ご夫婦だったらパートナー、親子だったら親が助かることで、
 後から本人が助かろうとする可能性があります。

3. 挫折や失敗も大事な人生経験』は次回に持ち越しです。