【脳力授業】金融教育 〜投資を中心に〜

こんにちは!
ワクワク塾 塾長の福田歩です。

12/11(日)に金融教育を行いました。

当初、親御さんも含めて9名の参加希望がありましたが、
家族ぐるみで熱を出された方が多く、
3名での開催となりました。

なので、皆さんのご都合を聞いて
12/25(日)、12/29(木)にも再開催することになりました。

投資についての「正しい捉え方」、「正しい知識」を
身につけた人を増やすことも社会に対する投資であり、
子供たちの将来に対する投資だと考えています。

ということで、
午前中は投資の「捉え方」「哲学」の面を中心に
午後は「知識」「理論」の面を中心に伝えました。

近所の『蒼屋』さんにお弁当を注文したところ、
なんと協賛を申し出てくださいました!!
そして豆サラダは妻が作ってくれました。
皆さんに支えられているワクワク塾の脳力授業。
ありがとうございます!!

『蒼屋』さんのご主人も「他人のために動ける人」です。
とても尊敬しています。

あるゲームのはなし

私が会社員だった頃、社員研修で
あるゲームをしました。

4人ずつの班に分かれます。
それぞれの班は、AからDの4群に分けられます。
ゲーム中、3回の投票行動があり、その結果によりポイントが増減します。
投票によって他のプレイヤーを応援したり、邪魔したりすることが可能です。
3回の投票行動の前には、他のプレイヤーと自由に話ができる時間が与えられます。

ルール説明の後、講師がこう言いました。

「このゲームの目的はポイントを最大にすることです。」
「では、始めてください。」

ほぼ全ての班が、
自分達の班が勝つために、
他の班より得をする方法を考えはじめます。

1回目の投票前の他班との交渉では、
「詐欺師の集団か?」ってくらい
「騙し合い」「足の引っ張り合い」が横行しました。

そのうち、「win-win」という言葉を知っている
カシコい人たちが気付き始めます。

「これは、みんなで協力して勝つゲームだ!!」

2回目の交渉タイムでは、
カシコい人たちがリーダーシップを発揮して
同じ群の他班を説き伏せ、
「いかにA群どうしで協力して他の群を出し抜くか」
という様なコソコソ話が会場を支配しました。

その結果、A〜Dすべての群が
同様の戦略で潰し合いをすることになりました。

ここで講師が一声かけます。
「念のため、このゲームの目的を再確認します。」
「ポイントを最大にしてください。」

「そんなことわかってるよ!」と気に留めない人が多い中、

「何でわざわざ、わかりきったことを繰り返したのだろう?」
と講師の真意について考える人が出始めます。

そう、「勝て」とは一言も言ってないのです。

「ポイントを最大化せよ」と言っているのです。

潰し合いをした場合、
自分達の班・群のポイントが高いということは、
他者の妨害に成功したことを意味しますから、
他者のポイントは低く抑えられます。

会場全体のポイントは最大化されたでしょうか?

むしろ、潰し合いに貴重な投票権(資源)を費やした結果、
相手に対して数ポイントの優位を獲得できたとしても
どの班も、どの群も低いポイントに留まってしまいます。

会場全体の相互協力によるポイント最大化こそ
このゲームの真のルールです。

そのルールに気付き始めた数名の賢者が
最後の交渉タイムに、群の垣根を越えて
大きな声で協力を呼びかけます。

しかし、3回目の投票行動の結果、
彼らの声は一部の班にしか受け入れられませんでした。

「あれは作戦だ」「陰謀だ」と。
「投票ではその逆の行動をとって一人勝ちするつもりにちがいない」
「意味はわかるけど、すべての班が足並みを揃えなければ、結局自分達の班が損をする」

なぜこのゲームのことを思い出したかというと、
12/11の参加者の感想を聞いてみると、
子供たちは素直に投資に興味を持ったのに、
大人は投資にネガティブなイメージを元々お持ちで、
講義を聞いた後もそのイメージが変わらなかったからです。

一度身につけたた価値観を変えることは
なかなかに難しいのだと思います。

今の学校や社会の中で、
「個人が評価されること」という
自分だけが認められる価値観が根強く
植え付けられてしまっているのではないでしょうか?

であるならば、
「人のために動ける人が報われる」
という単純な事実が信じられるような教育を
子供の頃から与えるべきではないかと思うのです。

自分が持っている資産を
他者のために、社会のために投じると、
他者や社会を潤す循環の末、
大きな富となって自分に返ってくる。

この「投資」という概念を、
生き方として実践できる人がもっと増えたら、
日本はもっと豊かになると思います。

寄付も投資も嫌いな日本人

レオス・キャピタルワークスCIO(最高投資責任者)の藤野英人さんは、
著書『投資家が「お金」よりも大切にしていること』のなかで、

“日本人は「清貧」(清く貧しい)の思想を持っている人が多い。”
と述べています。

その考えの裏返しは、
お金持ちは汚いことで儲けているに違いないという
「汚豊」の概念を信じていることになります。

ですが、本当に目指すべきは「清豊」です。

社会には、たくさんの未解決の「穴」「困りごと」があります。

その穴を埋めてくれる会社の製品やサービスは
皆んなから喜ばれるので、売れます。

そんな良い会社は成長するし、
増えた資本は、更にたくさんの「穴」を
埋めるために再投資され続けます。

社会の役に立てば立つほど豊かになっていくので、
まさに 「清豊」です。

「そのために私のお金を役立ててください」が
寄付や投資です。

ですが、世の中には
自分が一度手に入れた資本を手放して
他人のために役立ててもらうことに
抵抗を感じる人もいます。

例のゲームで
「意味はわかるけど、すべての班が足並みを揃えなければ、結局自分達の班が損をする」
と考えた人たちがそうではないでしょうか。

彼らの基本思想は、恐怖心や不信感なのかもしれません。
「豊か」とは言い難いですね。

昨今、岸田内閣が
「もっと投資をしましょう」
という政策をとっています。

個人の預金口座または、タンス預金に溜まっているお金は
日本の国家予算の約10年分だそうです。


それだけのお金(エネルギー)が、
社会に循環することなく
ただそこに留まり続けています。
買ったけど使っていない乾電池みたいなものです。

せっかくのエネルギーが有効活用されずに
停滞しているのは勿体ないと思います。

日本人がアメリカやヨーロッパの人々に比べて寄付や投資をせず、
ひたすら預金に励んでいることはデータでも確認できます。
その結果、日本の家計が欧米と比較して貧しくなっています。
 ↓↓

アメリカ(緑)イギリス(赤)日本(青)の家計金融資産の推移
投資の実践の差が家計の差に!!

一方で、
哲学的な意味での「投資」が信じられない人や、
資本を社会の役に立ててくれる良い会社を見る目を
養っていない人がいきなり投資を始めるのは
問題があると思います。

ですから、これからの時代を生きる子供たちには
是非とも正統な、質の高い金融教育を
施してあげたいと思います。

そのためには、やはり親の世代にも
金融についての正しい理解をreskilling(学び直し)
するきっかけを提供させていただきたいと思いました。

なので今月は、親御さんにも積極的に
脳力授業への参加を呼びかけています。

足の引っ張り合いは富を産まない!!

最後に一つ、知識の話を。

前出のゲームで、まず最初にほとんどの班が
相手を出し抜く戦略を取ろうとしました。

交渉タイムで他の班と同盟を結び、
投票で裏切ってポイントを獲得するやり方です。

一回限りのゲームでの生き残り戦略としては、
あるいは有効かもしれません。

しかし、これは詐欺の手口です。

そんな企業は社会の中で生き残れるはずがありません。
そんな会社に投資する人もどうかしてます。
(粉飾決算した企業を経産省が潰さなかった事例は....あるか!!)

基本的には「継続企業の原則」といって、
企業はすべての利害関係者(従業員、顧客、取引先、債権者、国・地方自治体、株主)
に対して誠実であり続けなければ
社会の中で存続を許されません。

要するに、
不正な手段による利益獲得は通用しません!!

そして、「足の引っ張り合い」
つまり過酷な競争をしたらどうなるでしょう?

ROIC(投下資本利益率)という概念があります。

「企業が事業に投下した資本から、どれだけ効率よく利益を生み出せているか」という指標です。

多くの企業が過酷な競争を繰り広げている市場では、
相手を押し退けるために多大なコストを払うことになります。

このコストは分母の「投下資本」に含まれます。

分母が大きくなるということは、
利益率が小さくなるということ。

簡単な算数です。

つまり、足の引っ張り合いは、労力の割には得るものが少ないということです。

子供たちには、正しい金融教育から
清く豊かに生きるための智恵を学んで欲しいのです。

なりたい未来に向けて
今持っているエネルギーを投入しよう!!

講義直前の風景