スノーシュー in みなかみ
こんにちは!
ワクワク塾 塾長の福田歩です。
3月の最後の日曜日に
みなかみ町の湯檜曽川沿いを
スノーシュー(西洋版かんじき)で歩きました。

このあと、予報通りに雪が本降りになりました。
自然の中で学べることは実に多いです。
中学の勉強に関係するところでは、
スノーシューで雪の上を歩く体験から圧力の概念が理解できます。
雪崩ビーコンの原理から、電流と磁界について学べます。
また、群馬県立高校入試の社会で毎年出題される
2万5千分の1地図の読図を実体験できます。
私が設定した学び以外にも、
子供は自然の中からそれぞれの感性で
様々なことを学びます。

圧力 = 力 / 面積
“重さ” = “力”
「重さと質量の区別がつかない人が多いけど、ある質量を持つ物体が重力に引っ張られて生じる力が重さだよ。」
電流が流れると、その周りに磁界が発生するよ。
電線をぐるぐる巻きにしたコイルに電流を流すと、コイルの中に棒磁石と同じN極とS極ができる。
地球も大巨大なコイルが生み出す棒磁石。
地磁気があるからコンパスの針が北を指す。
雪崩に埋もれた人を捜索するためのビーコンにはコイルと乾電池が入っていて、
ビーコンが作った磁界を頼りに雪崩に埋もれた人を探索する。
学校の社会や理科では
「コンパスの赤い針は北を指す。」
と習います。
嘘です。
実際には、その場所ごとに地磁気に偏りがあり、
その偏り具合は変化する可能性があります。
(地球内部の溶けた鉄の対流の変化による)
日本ではコンパスの針は真北よりやや西にズレた方向を指します。
国土地理院から購入した湯檜曽川沿いの地図には
最新の地磁気の測定結果が「西偏8度50分」と記されています。

1/ 25000地図のデータファイルを購入しました。
印刷したあと、「西偏8度50分」を赤線で地図に書き込みました。
8度50分を正確に測るには? 分度器では誤差が大き過ぎます。
高校の数学で習う三角関数タンジェントを使えば正確に作図できます。
(生徒に三角関数の話をするのはまだ早い)
生徒には当日の朝に地図を渡しました。
みなかみに向かう車の中で、
コンパスが指すのは、実は真北ではないことを伝えました。
「コンパスが北を指す」は厳密には嘘で、
実際には真北より少し西を指すから、
「今日歩くエリアでコンパスが指す方向を赤線で書いておいたよ」
と伝えました。
登山などで本気で(生き死にがかかっている状況で)地図を読むときに
現実と矛盾する知識が遭難や事故につながる誤った判断を招く恐れがあります。
「机上の空論」という言葉があります。
教科書にはたまに、嘘とまでいかずとも、
事実と異なる “ごまかし” が書いてあることがあります。
(まれに大きな嘘が書かれていることさえあります)
机上では「まことしやかな嘘」と「事実」の見分けがつきにくいです。
どうすれば嘘に気づくことができるでしょう?
(「正しい師から教えを受ける」という方法でも嘘を回避することができますが)
覚えた知識を実際に使ってみることです。
あるいは科学者のように実験してみることです。
机上で覚えた知識を
現実の世界で使ってみてください。
うまくいきませんから!!
最初は、知識が正しかったとしても、未熟ゆえに失敗します。
ですが、習熟したのちに、それでも失敗することがあります。
どう考えてもできるはずなのに、どうしてもできないとき、
その考えの前提にしている知識なり理論なりに誤りがあるのではないか?
あるいは、必要な要素を見落としているのではないか?
と疑ってみます。
何度やってもうまくいかない時に、ただ闇雲に頑張ってもダメです。
一度冷静になって、自分の拠り所にしていることを一から点検、検証するのです。
「どこかに矛盾やほころびはないかな?」と。
自然は最高の先生です。
自然の中で遊んだり、
自然の摂理を対象とする科学の実験をすると、
理に反する限り、ひたすら『No!』『失敗』という結果が返ってきます。
失敗の山を乗り越えて成功に至ったとき、
初めて知識は身につきます。
単なる知識が自分の道具に昇華します。
今回は、雪崩ビーコンを使った探索遊びを通して
「誤った思い込みに気づき、修正する」ことを体験してもらいました。

ビーコンを隠す役と探す役を交代でやりました。
ビーコンの隠し方、意地悪してゴメンね。
7分に及ぶ探索になってしまいましたが、
「計器の数値から理論的に考えよう。3次元的に考えるんだよ。 平面方向の距離だけでなく、上下方向の距離もあるからね。」
とヒントを出してからビーコンを発見するまでの素早さよ!!
本当に頭のいい子だと思います。
頭がいい子ならなおさら、
机上の世界(机の上のおベンキョー)だけではもったいないのです。
今まで触れたことのある世界に留まっていないで
もっと広い、リアルな世界でたくさんの経験をしてほしいと願います。
当塾では月に一度『脳力授業』という教科書の枠に収まらない授業を提供しています。
この生徒にはこれまでに、毎月
本人が興味を持ちそうなテーマと、本人の興味の外の世界のテーマを
双方並べた中からテーマを選んでもらっていました。
そして今回、初めて体を動かすテーマを選んでくれました。
最近 “いつもの安全な世界” から出ようとする兆しが感じられます。
良い傾向だと思います。
やったことのないこともやってみよう!!
もっと広い世界で学ぼう(あそぼう)!!

本人に写真掲載の許可をもらってます。

「それ、何かの漫画で読んだことがあります。 サバイバルの漫画。」
「さいとうたかおの『サバイバル』かな?」
「多分それです。」
「ま、答えは1つとは限らないよね。僕の答えは教えないから自分で考えてみて。」←コレ大事