後戻りしない夏
以下、生徒に「公開OK」をもらって投稿します。
昨日の朝は久しぶりにまとまった雨が降りました。
そんな中、びしょ濡れになりながら自転車でやってきた生徒。
もちろんレインウェアは着ていますが、
車に容赦なく水をかけられながら塾にたどり着きました。

彼は自分から
「夏休みの間、毎日9時〜12時まで塾で勉強させてください」
と言い出しました。
彼と話し合って、毎朝3時間、数学の授業をすることになりました。
実は、これは単なる夏期講習ではありません。
彼にとって大きなチャレンジなのです。
彼は、何かをやろうとすると
「今日はもう無理です」
とすぐに後戻りしていました。
それでも彼は、体勢を整えて、何度も挑戦しようとします。
その度に「今日はもう無理です」を繰り返してきました。
彼と出会ってから2年以上、このやり取りが続いていました。
彼が自分から「夏休みの間、毎日塾で勉強させてください」と言ってきたとき、
彼にあるチャレンジを提案しました。
「もちろん毎日勉強しに来ていいよ。」
「何度でも挑戦し続ける姿勢は、本当にすごいと思うよ。」
「でもね、いつも「今日はもう無理」って言うでしょ?」
「最初から途中で引き返すことが前提になってない?」
「厳しいことを言うと、それは挑戦とは言えないんだよ。」
「『できなかった』という事実が増えていくだけで、むしろ何かを成し遂げるためのハードルがどんどん高くなっていくだけだよ。」
「だから、今の君に一番必要なことは
『途中で後戻りしないで、何かを最後までやり通したという経験』を手に入れることだと思うんだ。」
本人と、ご両親とそれぞれ話し合って、
「月〜金の午前中毎日と、夜のレギュラーの授業に、夏休みの間休まずに来る」
というゴールを設定しました。
どのくらいの負荷をかけるかは、本人に選んでもらい、
途中、休憩日を設けることにしました。
1. まずは5日間連続で来たら、1日休む
2. 次は10日間連続で来たら、1日休む
3. 夏休みの残り全部来る
認知行動療法の「段階的課題設定法」というやり方です。
彼は第一段階をクリアし、第二段階の「10日間チャレンジ」を継続中です。

中3の夏はゴールデンタイム
心理カウンセリングのテクニックの一つに
「タイムリミットを設ける」というものがあります。
「いくらでも無制限に話を聞くよ」と言うと、
患者(クライアント)さんは延々と表面的な話ばかりをし続けます。
いつまで経っても問題の核心に向き合えないのです。
「カウンセリングの時間は30分間です。」と時間制限を設けると、
最後の5分くらいに、とても大事なことを話し始めます。
誰でも自分の核心と向き合う勇気って、なかなか出ないものです。
ですから、タイムリミットを設けて、
「今話さないとチャンスを失う」という状況を作ることで
問題の核心に向き合いやすくなるのです。
何かにつまずいている子供たちも同じです。
「もう後がない」と意識するまで、なかなか自分を変える勇気が出ないものです。
ですから、子供たちが「もう後が無い」「最後のチャンス」と無意識にわかっている
中3の夏休みは「変わりたい子」にとってゴールデンタイムなのです。
今までに何人も、夏のゴールデンタイムに大きく変わった生徒たちを見てきました。
『後戻りしない夏』のイベント
今朝は授業の前に、『後戻りしない夏』のイベント第二弾の
『沢登り & キャンプ & ペルセウス座流星群』の打ち合わせをしました。
「沢登り」は川の源流部を遡行する遊びです。
いくつもの滝をよじ登っていきます。
滝を登るのは比較的簡単ですが、
滝を降るのは非常に危険です。
ですから、沢登りは一度登り始めたら
最後まで登り切らなければなりません。
始めたら途中でやめられない遊びです。
今回生徒を連れていく沢は神奈川県の丹沢にある
「葛葉川本谷」という沢です。
初心者でも楽しめる小滝が連続します。
そしてコースの中間地点を林道(橋)が横切っているため、
そこで沢から脱出することができます。
フルコースにするか? ハーフコースにするか?
当日生徒に選んでもらいます。

左下:ハーネスの装着方法を伝えました
右:レンタルする道具一式を渡しました